10/08/30-10/09/05
シブヤ大学
―シブヤがまるごとキャンパスというコンセプトの『シブヤ大学』の講義の中から、シブチャンスタッフが実際に講義を受講しレポートするコーナーです。―
■講義名:78rpmの世界へ。~SPレコード盤と手回し蓄音機~
■講 師:佐藤隆俊
■日 時:2008年7月19日(土)12:00~13:30
■場 所:ケアコミュニティ・原宿の丘
今回の講師は、写真家であり、シブヤ大学の出席ほぼ皆勤賞の“シブヤ大学生”佐藤隆俊氏。シブヤ大学のコンセプトのひとつでもある「誰でも先生、誰でも生徒」が実現した授業となりました。
まず授業の始めに佐藤先生から「“先生”ではなく“親瓶(おやびん)”と呼んで下さい」とひと言。自身が所属する「押忍!手芸部」では最年長ということからこのニックネームで呼ばれているそうです。
そんな“親瓶”がこの日始めに針を落としたのは、バッハの「アベマリア」。初めて聴くその音には“揺れ”や“かすれ”などの表情があり、デジタル音では感じられないその音の豊かさに驚きました。
優しいだけではない存在感のある音。
深みのある音。
生々しい音。
幾重にも重なる音の表情が、体全体に染み渡って行くようでした。
手回し蓄音機でレコードを聴く時は、1曲聴き終えるごとに針を交換するそうです。針を交換したら、次はゼンマイをハンドルが止まるまで回します。“親瓶”の説明が終わると、今度は生徒さんが針の交換とゼンマイ回しをやってみることに。みなさん初めて触れる手回し蓄音機に戸惑いながらも、音が流れた瞬間にとてもうれしそうな顔をしていたのが印象的でした。一連の作業を終えた生徒さんは、蓄音機の隣(特等席)で音楽を聴くことが出来る特権付き。またひと味違った音に出会えたのでしょう。みなさんうっとりとした顔で音に身をゆだねていました。
手回し蓄音機はレコードの溝の振動を、針を通して音に変えています。その構造を分かりやすく説明するために用意されたのが、針を刺した紙コップ。レコードを回し紙コップの針を触れてみると、針の振動が紙コップに伝わりきれいな音が教室に流れました。その後は教室のあちらこちらに移動して、蓄音機から聴こえる音の違いをチェック。蓄音機の前から後ろから横からと、音の微妙な差を聴き比べました。
授業後半は、普段からレコードを聴いているという生徒さんが持参したレコードをみんなで聴きました。さすがレコード愛聴者とあって、レコードケースの中には数十年前の珍しいレコードも。“親瓶”もその選曲を気に入ると同時に、「これをかけたなら私はこちらを・・・」と、当日持参していたたくさんのレコードから、とびきりの曲を選択。その後もプチバトルは続き、その姿からおふたりが“蓄音機でレコードを聴く時間”を愛しているのだということを、ひしひしと感じました。
MP3による音楽配信が主流になりつつある近年は、いつでもどこでもイヤホンを耳に付けて“自分だけの世界”に浸ることが出来ます。でもこんな風にみんなで音を楽しむ事が本来の“音楽”なのだと改めて感じました。
授業から時間が経った今も、あの音はずっと耳の奥に残っています。そしてこれからもずっとこの楽しかった授業風景と共に、私の中に残っていくことでしょう。













