10/03/01-10/03/07
シブヤ大学
―シブヤがまるごとキャンパスというコンセプトの『シブヤ大学』の講義の中から、シブチャンスタッフが実際に講義を受講しレポートするコーナーです。―
■講義名:法廷画家のお仕事。~映画「ぐるりのこと。」から考える裁判~
■講 師:橋口亮輔・染谷栄
■日 時:2008年6月21日(土)13:00~14:30
■場 所:國學院大學 渋谷キャンパス 120周年記念2号館4F 2401教室(法廷教室)
今回の講師は、法廷画家をしている夫とうつになってしまった妻の夫婦愛を題材にした映画『ぐるりのこと。』(シネマライズ、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開中)を発表した映画監督・橋口亮輔氏と、オウム地下鉄サリン事件や新潟少女監禁事件、渋谷区夫バラバラ殺人事件などの法廷画を描いた法廷画家・染谷栄氏。國學院大學渋谷キャンパスの法廷教室で傍聴席に座っての授業となりました。
ニュース番組でよく目にする法廷画。うつむいた被告や涙を流す被告、声を上げ判決に反論する被告など、世の中を震撼させた事件の裁判での被告の様子を知るたったひとつの方法が“法廷画”です。
15年に渡って法廷画家として活躍している染谷先生は、「(裁判の様子を伝えられるのは自分だけなので)仕事というより使命感でやっている」とおっしゃいます。視聴者は、大きな事件を起こしているのだから被告人は悪い人相なのだろうと思いがちですが、実際の被告は「驚くほど“普通の人”」なのだとか。また、逮捕時から初公判までは期間があり、その間に精神的に追い詰められ痩せてしまう被告も多く、そんな時は「(逮捕時のイメージがある視聴者に)ちゃんと伝わるか心配になる」そう。
法廷画家になるきっかけは大半が人の紹介だそうで、染谷先生もデザイン会社に勤めていた時に紹介されたそうです。法廷画家が1枚の絵を描くのにかけられる時間は5分~10分。ニュースの時間に合わせる為に、法廷画家はもちろん記者達も騒がしく“裁判=静か”という一般人のイメージはそこには存在しないそうです。
橋口先生が新作を撮るにあたって法廷画家の方たちにお話を聞くと、必ずといってよいほど被告のディテール(「指がきれいだった」「いいセーターを着ていた」など)を話し、事件や裁判についての個人的なジャッジは下さないそう。橋口先生は法廷画家達の話を聞いて「人間の本質を言い当てているような気がした」と話し、その話からも“観察者”として仕事をしている法廷画家達の様子が伺えました。映画やドラマで見る裁判は、ドラマティックで演出が凝ったものが多いですが、『ぐるりのこと。』の法廷は染谷先生が「びっくりした」というほど実際の法廷と一緒だったそう。物語の中でも凝った演出はなく淡々と裁判は進んでいきます。映画を撮るにあたって裁判をたくさん傍聴したという橋口先生は、「何の変哲もない空間に傍聴人・被告・裁判官がいる。(裁判官や弁護士は被告に)普通に声をかけたりして威厳があるわけではない。」そうで「事件はとても日常の中にあるものなんだと感じた。」とおしゃっていました。
最後は貴重な法廷画の原画がエピソードと共に紹介され、そこには、裁判中にも関わらずペンを回して遊ぶ被告や暴れている被告など、一瞬の出来事が鮮明に描かれていました。染谷先生は「伝えたいと思うと、その一瞬のことがインプットできて浮かんでくる」そう。“使命感”で描かれたその法廷画には、現場の熱が込もっているように感じました。
いよいよ日本でも来年から裁判員制度が導入されます。国民の関心も高まる中での今回の授業。シブチャンスタッフには、未知の世界だった裁判の本当の姿を知れる、いい機会となりました。















